タイの北端、メーサイを訪れたときのことだったかな? なにしろ昔の話なので、細かいことはもう怪しい(笑)。
近くをぶらぶら観光してみようと、おいらはバイクタクシー、通称「バイタク」を頼んだ。二、三時間ほど走り回ったころには、さすがに喉もカラカラ。

「プリ-ズ! コ-ヒ-ショツプ!」
どこかで一服しようと思い、運ちゃんの背中に向かって、おいらは自信たっぷりに叫んだ。
「プリ-ズ! コ-ヒ-ショツプ!」
運ちゃんは迷う様子もなく、バイクをブーンと発進させた。「おっ、通じた通じた」と安心していたら、しばらくして一軒の店の前でピタリと停まった。
えっ? なんだ、ここは?
どう見てもコーヒーショップではない。薬屋、つまりドラッグストアではないか。怪訝な顔をするおいら。運ちゃんも「ちゃんと連れてきたのに、なんで?」という顔をしている。
お互いに黙ったまま、しばし見つめ合う二人。
そして、おいらはハタッと気がついた。
あっ! おいらの発音か! 😁
思わずその場で大笑い。運ちゃんも、理由はよく分からないまま、おいらにつられて大笑いしていた。いやいや運ちゃん、ここは笑うところじゃなくて、おいらが怒るところだゾ……。
どうやら「ヒ-」が問題だったらしい
まあ、おいらの発音が悪かったのだろう。でもタイでは、むやみに「ヒ-」なんて音を口にしないほうがよさそうだ。
ちょっと種あかし。
タイ語で「ヒ-」は、女性の身体のある部分を指す、かなりくだけた言葉らしい。コーヒーを飲みたかっただけなのに、おいらはいったい何を叫んでいたのやら(笑)。

言葉が通じなかった失敗も、年月がたてば立派な旅の思い出。正しい発音より先に、笑いだけはしっかり通じたメーサイの一日でした。

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